検査/鑑別について
 
宝石の場合はその石そのものが本物か偽物(イミテーションや別の石)かと言う事をはっきりさせるために鑑別をとり、ある程度の金額以上のものには卸の段階でソーティングが、小売りの段階で鑑別書が付く事が多いです。天然石、特にビーズの場合、価格や形の性質上難しいのでそう言った事が行われません。そのために曖昧な事が多くなってしまいます。
 

基本的にはお客様にお渡しする品そのものの一点一点を検査するのが正しいあり方だと思います。しかし、天然石の場合宝石と同じようにと言う訳にはいきません(形、コスト、販売価格等の問題で)。出来る事は限られます。それでも出来る事だけでも行った方が良いのではないかと思います。天然石の場合はどこまで厳密にする必要があるかは分かりません。間違い探しをするのでは無く、出来る限り正しい情報の元で販売させて頂きたいと思います。

 
ソーティング/鑑別をご希望のお客様は付けさせて頂きます。(有償)詳しくはこちら。
 
鑑定/鑑別/ソーティング
 
鑑別機関で行ってもらう検査はには種類があり名前により行われる内容が違います。
 
   
鑑定 主にダイアに用いるもので、その石のグレードを調べ鑑定書を作製します。鑑定書には検査結果が記入され写真が付きます。ルースの状態でのみ可能。製品の場合は鑑別しか出来ません。
鑑別 その石が何かを特定する検査で鑑別書には詳しい検査結果が記入され写真が付きます。ルース/製品のどちらでも可能。
ソーティング 検査内容は基本的に鑑定/鑑別と同じなのですが、コストが安く、簡略化された報告になります。それが正しいものかどうかを調べるためだけの時はソーティングです。業者間でルースを取引する時はソーティンで行います。ダイアなら重さとグレードで、色石なら重さと石名と検査結果、処理の有無が表示されます。それをもとに鑑別書に切り替える事が出来ます。
 
ソーティングのサンプル 鑑別書のサンプル
 

検査を行ってもらうのはどこ(誰)でも良いかと言うと、極端に言えばどこ(誰)でもいいです。ただここで問題となるのがその検査結果に信頼性があるかどうかで、検査結果に信用して貰えるか重要です。鑑別機関もいろいろです。業者の間ではどこの鑑別機関に出すかを指定する事がよくあります。個人に頼む場合は基本的に自分のための参考程度がいいと思います。そうで無い場合はその結果にキチンと最後まで責任を持って貰えるかどうかです。だだ個人に頼んだ検査結果を信用して貰うのは非常に難しいと思いますが。

 
検査結果を証明用として用いる場合は、その検査結果がその検査に出した品のものと同一のものかどうか証明する必要があります。そのために写真付きの鑑定書、鑑別書になります。ソーティングの場合はソーティング袋には石の重量しか書いて無いので鑑定/鑑別書に取り直す必要があります。(例えばオークション等で買ったけど心配になって検査に出した結果偽物と分かった場合でも、ソーティングだけなら品物とソーティングの同一性が認められないと言われる事があるかもしれません。)
 

検査結果については検査を行った機関(個人)が責任を負いますので、鑑定/鑑別には必ずどこの機関が行ったかを示す名前と検査を行った人の名前(サイン)が必要です。宝石鑑別団体協議会(AGL)では2人のG.Gのサインが必要としています。個人に頼んで検査を行ってもらう場合でも、証明用として用いる場合は必ず誰が行ったかを明記する必要があります。誰が検査をしたか分からないものは単なるメモ書きでしかありません。例え検査結果が正しくても通用しません。(自分用に調べるのならそれでいいですが)

 
鑑別(ソーティング)は、あくまで検査を行った機関(または個人)が"この石は〜である"と認めたものであって100%確実と言い切れるものではありません。そのためにどこが行ったかが非常に重要になります。天然石の業界では珍しいのですが、当店では検査結果の信頼性を重視して基本的に全国宝石学協会に出します。
 
検査の方法
 
先ず、自分達で出来る検査を行いその後で鑑別機関に出します。

宝石学の鑑定/鑑別の学校を出たら自分で全て鑑別が出来ると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、限られた機材の中で、また不特定のものを鑑別する行為から離れていると無理です(新しい石、処理等も出てきています)。また機材があれば誰でも出来るかと言えば、それも無理です。宝石の正しい知識と機材の使い方(判断の仕方)を身に付けて経験を積まないないと判断する事は出来ません。

 
 

ビーズの場合は全ての玉を検査/ソーティングする事はコスト的に無理なのでサンプルでの検査になります。入荷時に定期的にサンプルを抜き出し鑑別機関に出し検査をいたします。その検査結果しだいで、同じ玉を含め個数を増やし再検査に出す事もあります。それによりその石(ビーズ)が何であるか、処理が行われているかを判断いたします。厳密に言えば全てを検査している訳ではないのでビーズとしては特定出来ない事になりますが、それでは名前をつけたり処理の有無を表示出来ません。

 
ビーズのロット(束)から無作為に選びソーティングに出し全て同じ鑑別結果の場合は良しとします。この場合それらの連の中に違う石が混じっていない可能性は否定出来ません。ある程度おかしいと思う場合とまったく分からない場合があります。実際に以前ある業者で仕入れたブラックトルマリンの同じ1本の連の中にブラックトルマリンとオニキスが混在しておりました。これは見た目で違いが感じられたので、複数個ソーティングに出した結果判明しました。こういったビーズの場合はそのものの販売する事自体をやめます。
このようにあやしいと思う場合はいいのですが、まったく分からない種類のものははっきり言ってお手上げです。全玉を検査に出すしか方法がありませんがそれは不可能です。特に水晶は見た目では全く分からず、このような事が行われている事が多い石です。特に中国で販売されている水晶(透明ロッククリスタル)は合成(人工)と天然が混ぜれている事が頻繁に(すごくいっぱい)あります。そのために水晶は中国では一切仕入れはせず、仕入れる業者も限定しています。その上でサンプルですが検査に出しています。

 

検査に出す個数、頻度は費用と販売価格のバランスになります。数が多ければ多い程確実性は増しますが費用がかかり販売価格が高くなってしまい、少なければ費用は安く済み販売価格を抑える事が出来ますがが確実性は低くなります。石の種類により殆ど検査に出す必要の無いものもあれば、毎回出す必要のあるものもあります。このあたりを考慮して検査に出しております。

 

サンプル検査なので100%確実とは言い切れませんが少しでも安心して頂けるように努力いたします。
 
 
*サンプル検査で販売するものは天然石に限った事ではなく地金のチェーンのホールマーク(刻印)もサンプル検査で刻印を打ちます。
 
結果の正確性
 
ビーズはルース等に比べ、比較的品質の劣るものが使われる事が多いです。これは言い換えればインクルージョン(内包物)等他の物質が混じる事になります。それと穴が貫通しています。これらの理由により屈折率、比重等はルース等の質の良いものを検査した時に比べ誤差が出易くなり、判断するのが難しくなります。
 
鑑別機関にも大小いろいろなところがあり規模により所有する機材も違います。そのために出来る検査の内容も違います。当店では信頼のおける鑑別機関しか利用いたしません。また、鑑別機関が結果を出す場合その結果の影響は大きくなりますので、石の形、状態等で正確な検査が出来ない場合は結果を出さない事もあります。